【学校・いじめ】調査報告書は「終わり」ではない―白岡市いじめ重大事態に見る、事後対応の重要性と行政の責任

白岡市のいじめ重大事態において、調査報告書公表後に教育長が「報告書の公表で終わり」「転校しか選択肢はない」と発言し、市長も被害者側との対話を拒否したとされる事案は、法の趣旨を根本から見誤っています。調査報告書は免罪符ではなく、被害者のケアと環境調整のスタート地点です。行政や教育委員会には、報告書を真摯に受け止め、被害者が安心できる環境を取り戻すまで継続的に支援する法的責任があります。

埼玉県白岡市の市立小学校で発生したいじめ重大事態において、市教育委員会や市長の対応が物議を醸しています。

いじめ被害者に「転校しかない」 教育長の“追い討ち”に保護者怒り「娘は過呼吸に…」
ENCOUNT3/24(火)9:20
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報道によれば、第三者委員会によっていじめの事実が認定され、調査報告書が公表されたにもかかわらず、教育長が「これ以上の対応はしない」「報告書の公表で終わり」と幕引きを図ったとされています。さらに、教育長が被害児童に対して直接「いじめはなくならない」「転校しか選択肢はない」などと発言し、児童がショックで過呼吸を起こしたほか、市長も録音公開を示唆する保護者に対して「教育長の人権はどうなるの?」と迫ったと報じられています。

いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態調査」は、報告書を出すことがゴールではありません。今回はこの事案を題材に、調査報告書公表後に学校や教育委員会が果たすべき「真の法的責任」について解説します。

調査報告書は「免罪符」ではなく「スタート地点」

調査報告書は「免罪符」ではなく「スタート地点」

本件において最も問題視されるべきは、教育長が「報告書の公表で終わり」と発言したとされる点です。

文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、「重大事態の対応は、調査を行って終了ではない」と明確に否定されています。調査報告書の内容を踏まえ、被害を受けた児童生徒に対する心のケアや、安心した学校生活を送るための支援を継続していくことが強く求められています。

特に、いじめによって不登校となっている場合には、家庭や関係機関と連携して学習支援や登校支援を行い、希望する場合には就学校の指定の変更等の弾力的な対応を検討することも市区町村教育委員会の役割とされています。

報告書は「学校側がやるべきことをやった」という免罪符ではなく、そこに記された課題や再発防止策を具現化し、被害児童生徒の環境を整えるための「スタート地点」に過ぎません。報告書を出した途端に支援を打ち切る姿勢は、法の趣旨を根本から見誤っていると言わざるを得ません。

被害者を追い詰める「大人の言葉」による二次被害

被害者を追い詰める「大人の言葉」による二次被害

報道によれば、教育長が被害児童に対し「いじめはなくならない」「転校しか選択肢はない」と力説し、被害児童が過呼吸を起こしたとされています。

ガイドラインでは、対象児童生徒・保護者への接し方として、対象児童生徒の心情を害することは厳に慎むよう求めています。

教育行政のトップである教育長から「転校しか選択肢はない」と告げられることは、被害児童からすれば「学校や行政は自分を守ってくれない(見捨てられた)」という絶望を与えるものであり、深刻な二次被害(トラウマ)をもたらします。

本来であれば、いじめを行った加害児童生徒に対して毅然とした指導を行い、被害児童生徒が落ち着いて教育を受けられる環境を確保することこそが、学校や教育委員会の法的義務です。加害者を放置して被害者に転校を強いるかのような発言は、被害者を徹底して守り抜くという教育的配慮に著しく欠けています。

「学校の対応」を検証し、指導・監督する教育委員会の責任

「学校の対応」を検証し、指導・監督する教育委員会の責任

本件の調査報告書では、「学校は被害者が受けた被害を真摯に受け止める姿勢が必要」「加害者側保護者とも十分にコミュニケーションをとりながらなすべき指導・監督を行うよう指示する必要がある」と、学校の対応の改善が指摘されていました。

ガイドラインでも、調査報告書において指摘された再発防止策は具現化されないと意味がなく、学校の設置者(教育委員会)の責任の下で取組の進捗管理や検証を行うことが求められています。

教育委員会は、学校任せにするのではなく、報告書の提言に基づいて学校の対応を厳しく指導・監督し、被害児童が本来通うはずだった中学校への復帰に向けた環境調整(加害者に対する指導や、接触を避けるための空間的・時間的配慮など)を主体的に行うべきでした。

首長(市長)の姿勢と責任

首長(市長)の姿勢と責任

保護者が市長に直訴した際、市長が「あなたとは話したくない」と話し合いを拒否し、録音について「教育長の人権はどうなるの?」と迫ったという報道内容も、非常に懸念される点です。

いじめ防止対策推進法では、公立学校において重大事態の調査が行われた場合、地方公共団体の長(市長)及び教育委員会は、その結果を踏まえ、自らの権限及び責任において必要な措置を講ずるものとされています。市長には、教育委員会の対応が不十分であると認められる場合には、自らの権限で再調査を行ったり、総合教育会議等の場で教育委員会と協議したりするなどのリーダーシップを発揮することが期待されています。

被害者側の切実な訴えを拒絶し、身内(教育長)を庇うかのような態度は、地域社会全体のいじめ防止に対する信頼を失墜させるものです。

結びに

結びに

いじめ重大事態における調査は、傷ついた子どもの尊厳を回復し、未来の安全を保障するために行われるものです。

白岡市の事案は、「調査報告書を作成すること」自体が目的化し、その後の最も重要な「被害者のケアと環境調整」が放棄されてしまった典型的な失敗例と言えます。

行政や学校には、報告書の文言を真摯に受け止め、被害者が安心した日常を取り戻せるその日まで、寄り添い、具体的な行動を起こし続ける責任があるのです。

最後に見ていただきたい学校問題サポートのこと

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志
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