
いじめ重大事態において弁護士に依頼するメリットは、主に4点あります。第一に、川口市裁判例等を根拠に、学校の裁量を否定して調査実施を法的に強制できる点。第二に、ガイドラインに基づき、利害関係のない「第三者」による公正な調査体制を要求できる点。第三に、証拠を法的に整理し、学校側の「いじめではない」という主観的な評価を覆せる点。第四に、調査結果が不服な場合、説得力のある「所見書」を作成して首長による再調査を求められる点です。
いじめによりお子さんが不登校になったり、心身に深い傷を負ったりした際、保護者が学校に対して「調査をしてほしい」と求めても、「いじめの事実は確認できなかった」「単なるトラブルだ」と門前払いされるケースが後を絶ちません。
こうした状況を打開し、適正な調査(重大事態調査)を実施させるために、弁護士の介入が極めて有効です。
今回は、これまでの解説や川口市の裁判例、文部科学省のガイドラインに基づき、重大事態調査において保護者が弁護士に依頼する具体的なメリットを4つのポイントに絞って解説します。
「調査拒否」を許さない~法的根拠に基づく調査開始の要求

最大のメリットは、学校側の「調査をしない」という判断を法的に覆せる点です。
【学校の言い分と法の規定】
学校現場ではしばしば、「いじめがあったと確信できないから調査しない」「教育的指導で解決済みだから調査不要」といった独自の判断(裁量)が行われます。
しかし、川口市いじめ裁判の判決(さいたま地裁令和3年12月15日判決)は、法第28条の要件(いじめの疑い+重大な被害または長期欠席)を満たす場合、学校や教育委員会に調査をしない裁量はないと明確に断じました。
【弁護士の役割】
弁護士は、この判決や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(以下、ガイドライン)」を根拠に、以下のように主張します。
• 「年間30日未満であってもいじめを訴えており、法第28条第1項第2号の重大事態に該当する」
• 「保護者から申立てがある以上、学校がいじめと認めていなくても、ガイドラインに基づき重大事態として報告・調査する義務がある」
これにより、学校側の「様子を見ましょう」という先延ばしを許さず、調査組織の設置を強力に迫ることができます。
「お手盛り調査」の阻止~公平・中立な「第三者」の確保

いざ調査が始まっても、学校の教員だけで構成される組織や、学校と利害関係のある人物(顧問弁護士など)による調査では、身内をかばう「お手盛り調査」になりがちです。
ただし、不登校において原則とされている学校主体調査では、現実的に第三者を立てるのは難しいケースも多く、ケースバイケースで委員に口を出したり、教育委員会の同席や指導を仰ぐこともあります。
なかには、教育委員会方式の調査を採用する自治体もあります。
不登校の場合、第三者委員会よりも学校主体の方が、事実調査と支援の両面から深いアプローチが期待できるという面や立上げが早いという面がある一方、生徒児童(被害側に限らない)と学校との間で不信感が募っている場合などは、調査の実施が円滑に進まないこともあります。そのため事案ごとに熟慮する必要があります。
【ガイドラインの規定】
ガイドラインでは、学校と被害者側の間に不信感がある場合や事案が複雑な場合、調査の公平性・中立性を確保するために、弁護士や医師などの「第三者」を調査組織に入れるよう求めています。
ここで言う「第三者」とは、「当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者」であり、その学校のスクールロイヤーなどは該当しないとされています。
【弁護士の役割】
被害者側の弁護士は、調査組織の構成について事前にチェックし、学校に対し以下の要求を行う場合があります。第三者委員会を求めるかどうかも主張することが多いです。
• 「現在のメンバーは学校関係者ばかりであり、中立性が担保されていない」
• 「職能団体(弁護士会など)から推薦された、利害関係のない外部専門家を入れるべきだ」
中立的な調査体制を最優先で構築させるためには、第三者委員会の路線で進めるのがもっとも合理的です。
「事実」と「評価」の整理~いじめ認定のハードルを下げる

学校側の調査報告書でよく見られるのが、「いじめ」ではなく「ふざけ合い」「喧嘩」として片付けられるケースです。これは、事実に対する「評価」が歪められているためです。
【いじめの定義】
いじめ防止対策推進法第2条は、いじめを「被害者が心身の苦痛を感じているもの」と定義しており、加害者の意図(悪気)は関係ありません。未だに「意見をいっただけであるからいじめではない」などと述べる管理職がおり、あきれることも少なくありません。
【弁護士の役割】
弁護士は、LINEの履歴、医師の診断書、日記などの証拠を整理し、感情論ではなく法的なロジックで事実を構成します。
• 「学校側は『ふざけ合い』と評価しているが、被害者が嫌がっている以上、法第2条のいじめに該当する」
• 「直接的な暴力がなくても、パソコンや携帯電話での誹謗中傷は、法が定める心理的な影響を与える行為である」
このように、ごく当たり前の法的な定義に基づいて事実を積み上げることで、学校側の恣意的な評価(いじめではないという結論)を封じ込めます。
調査結果への反論~「所見書」による再調査の要求

調査が終了し、報告書が出てきたとしても、その内容が不十分だったり、事実と異なっていたりする場合があります。ここで泣き寝入りしないための武器が「所見書」です。もちろん、報告書が完成する前に報告書の内容に追加調査や修正を求めることが大半であり、所見書によるのは現委員会には期待のできない内容をまとめる最後の手段ではあります。
【法の仕組み】
調査結果がまとまった際、被害者側は調査結果に対する意見をまとめた「所見書」を提出することができます。この所見書は、調査報告書と併せて地方公共団体の長(市長や県知事)に提出され、首長が「調査が不十分だ」と判断すれば、再調査が行われます。
【弁護士の役割】
弁護士は、提示された調査報告書を精査し、以下のような指摘を含む強力な「所見書」を作成します。
• 「重要な目撃者への聴き取りが行われていない(調査不足)」
• 「事実認定と結論の間に論理的な飛躍がある」
• 「ガイドラインが求める再発防止策の提言が具体的でない」
この所見書の説得力が、首長による再調査の実施を勝ち取るための鍵となります。再調査は、教育委員会の調査を第三者機関が検証する「セカンドオピニオン」のようなものであり、事実解明のチャンスとも言えます。
おわりに

いじめ重大事態調査において、学校という巨大な組織と個人で対峙するのは極めて困難です。
しかし、ガイドラインや裁判例によって、保護者が持つ権利は強化されています。弁護士を入れることは、単に「代理人を立てる」だけでなく、「法とガイドラインを学校に守らせる」という大きな意味を持ちます。
お子さんの尊厳を守り、真実を明らかにするために、専門家である弁護士の活用を躊躇しないでください。
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