
いじめ重大事態において、加害者側にも法やガイドラインに基づく適正な手続きを受ける権利があります。本人の言い分を聴かずにいじめと断定される、調査結果の説明がない、体罰などの不適切な指導、出席停止中の学習支援がないといった場合は、学校に是正を申し入れるべきです。これは単なる苦情ではなく、公正な事実認定と子供の真の更生・成長支援のために必要な正当な権利行使です。
はじめに

いじめ重大事態において、「加害者(いじめを行った児童生徒)」の側が学校に苦情を言う、あるいは異議を申し立てることは、社会的な非難を恐れて躊躇されがちです。
しかし、いじめ防止対策推進法(以下「法」)や国のガイドラインは、加害者側を単に断罪するのではなく、教育的な配慮の下で更生・成長させることを求めています。もし学校が法の手続きを無視したり、不適切な指導を行ったりすれば、それは加害児童生徒の「学習権」や「成長する権利」を侵害することになり、真の解決からも遠のきます。
いじめは、被害者にも加害者にもなり得ます。しかし、保護者の方は、自分のお子さんが被害者になるかも?と思うことはあっても、加害者になるかも?と思う方は統計的に少ないというデータもあります。
今回は、いじめ重大事態の対応において、加害者側の保護者が学校に対して「それはおかしい」「是正してほしい」と声を上げるべき具体的なケースを、関連法令やガイドラインに基づき解説します。
本人の言い分を聴かずに「いじめ」と認定された場合

【状況】
学校が被害者側の訴えのみを鵜呑みにし、加害児童生徒本人からの十分な事情聴取を行わないまま「いじめ」と断定し、指導を行おうとするケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」は、事実関係の確認において、被害者だけでなく「関係児童生徒からの聴取内容」を網羅的に明らかにすることを求めています。
また、聴き取り調査においては、「予断を持たず、公平・中立な立場で行うこと」「児童生徒に自由に話をさせること」が求められています。
もし、学校が「やっていない」という本人の訴えに耳を貸さず、一方的に決めつけているのであれば、それは調査の公平性を欠いた不当な対応です。「ガイドラインに基づき、双方の言い分を公平に聴取し、客観的な事実認定を行ってほしい」と申し入れるべきです。
調査結果の説明がなされない場合

【状況】
調査が終了したにもかかわらず、「被害者のプライバシー」などを理由に、加害者側にどのような事実が認定されたのか、どのような根拠で処分が決まったのかが説明されないケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
ガイドラインは、被害者側への説明と同様に、「いじめを行った児童生徒・保護者への調査結果の説明」を行うことを明記しています。
学校は、認定された事実(いつ、誰が、どのような行為をしたか)や、調査の方法、学校の対応の検証結果について、加害者側にも丁寧に伝える必要があります。
何が「いじめ」と認定されたのかを知らされなければ、子どもは反省のしようがなく、再発防止にもつながりません。「ガイドライン第9章第2節に基づき、調査結果の説明を求めます」と主張することは正当な権利です。
「指導」の名を借りた不適切な行為(体罰・暴言)がある場合

【状況】
「指導」と称して、教員が加害児童生徒を大声で怒鳴りつける、暴力を振るう、あるいは他の生徒の前で見せしめにするような行為が行われるケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
法第25条は、校長及び教員による懲戒を認めていますが、体罰は学校教育法で厳に禁止されています。
また、ガイドラインや国の基本方針でも、加害児童生徒への指導は「当該児童生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下」で行われるべきとされています。
心理的な孤立感・疎外感を与えないよう配慮することも求められています。
行き過ぎた指導は、いじめの解決どころか、新たな人権侵害です。毅然とした指導は必要ですが、それが体罰やハラスメントに該当する場合は、直ちに管理職や教育委員会に苦情を申し立てるべきです。
出席停止期間中の学習支援がない場合

【状況】
公立学校において、いじめの加害行為により「出席停止」を命じられた際、学校から何の学習課題も出されず、家庭学習のサポートが放置されているケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
市町村教育委員会が加害児童生徒に出席停止を命じる場合、法第26条および国の基本方針に基づき、「出席停止の期間における学習に対する支援その他教育上必要な措置」を講じなければなりません。
出席停止は懲罰ではなく、学校の秩序維持と被害者の安全確保のための措置です。
その間、加害児童生徒の「学ぶ権利」までが奪われてよいわけではありません。
学校や教育委員会に対し、プリントの配布や家庭学習の指導計画の作成など、具体的な学習支援を求めるべきです。
保護者間の争いを防ぐための情報共有がない場合

【状況】
学校が「個人情報」を盾に情報を遮断し、被害者側がどのような認識を持っているか、どのような解決を望んでいるかが加害者側に全く伝わらず、疑心暗鬼から保護者同士のトラブルに発展しそうなケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
法第23条第5項は、いじめの指導や支援を行うにあたり、「いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置」を講ずることを学校に義務付けています。
もちろん、被害者の意向やプライバシーは尊重されるべきですが、解決に向けた話し合いや謝罪の機会を設けるために必要な最低限の情報共有まで拒絶することは、法の趣旨に反します。
学校が不必要に情報を分断していると感じた場合は、この条文を根拠に、適切な調整を求めることが可能です。
ネットいじめ等で、事実確認前に噂だけで犯人扱いされた場合

【状況】
SNS上の書き込みなどについて、IPアドレスなどの客観的な証拠がないにもかかわらず、状況証拠や噂だけで「お前がやったんだろう」と決めつけられ、指導されるケースです。
【法的根拠と主張のポイント】
ネットいじめは匿名性が高く、なりすましの可能性もあります。ガイドラインや基本方針でも、事実関係を明確にするための調査(法28条)の重要性が説かれています。 確たる証拠がないまま犯人扱いすることは、冤罪を生むリスクがあるだけでなく、真の加害者を見逃すことにもなります。「客観的な根拠に基づいた事実認定」を求めることは、学校の調査の質を担保するためにも重要です。
おわりに

加害者側の保護者が学校に苦情を言うことは、「いじめを正当化する」ことではありません。
「適正な手続き」を経て事実が認定され、納得感のある説明と、教育的な配慮に基づいた指導が行われて初めて、加害児童生徒は自らの行為の重さに気づき、心から反省し、立ち直ることができるのです。
学校の対応が感情的であったり、手続きを無視したものであったりする場合は、子どもの将来のためにも、冷静に法とガイドラインに基づいた対応を求めていく必要があります。
最後に見ていただきたい学校問題サポートのこと

私たちは、開所以来35年以上、いじめ・学校問題にお悩みの方に一貫して寄り添って参りました。
子どもや保護者の方が日常を取り戻していただくために、法的な専門知識と経験を活かして、全面的にサポートいたします。あなたの未来への不安を解消し、前を向くきっかけ作りをお手伝いさせてください。
お客様満足度は92.9%となっており、多くのお客様にご満足いただいております。
私たちの持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。
まずはグリーンリーフ法律事務所にご相談ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。





